(9) ジャンク箱

ジャンク箱にはいろいろな物が入っています.
普通の人が見るとガラクタですが,ラジオ少年には宝物です.
ラジオ少年のジャンク箱はその宝物を紹介するコーナーです.

ネジ

 

ラジオを組み立てるのにネジが必要になります.
ビスとナットで対になっている物やIFT中間周波トランスをシャーシに取り付けるナット,バリコンを取り付けるネジや電源トランスのネジ等. 
ネジは3種類あります.

ネジの種類
左から JISネジ 旧JISネジ インチネジ

現在国内で市販されているJISネジ,旧JISネジは1960年代まで使われていました,そして外国製のラジオや通信機に使われているインチネジです.拾ったネジがどの種類のネジか判別するには,正体のハッキリしているナットに入れてみて判定します.
この3種類のネジをキチンと管理して保管します.
CollinsやHallicraftersをメンテする時にはインチネジを,日本製の古い真空管ラジオをメンテする時には旧JISネジを使います.
国産のエアバリコンやIFTに新JISネジは使えません.旧JISネジです.外国製のバリコンやIFTはインチネジです.

ボリューム

ボリュームは可変抵抗器と言って抵抗Rの値を可変できます.
受信機,ラジオの音量を調節したり,高周波増幅器のカソード抵抗器に使うとゲインコントロールになります.
低周波増幅器のトーンコントロールにも利用しています.
ボリューム
スイッチの付いたボリュームは電源スイッチとボリュームの機能が一つのツマミで利用でき,とても便利です.
ボリュームが使い込まれて性能が悪くなるとツマミを回転した時にスムーズに抵抗値が変わらず,接触不良になる事があります.
音量を変化させた時にバリバリ,ガリガリと雑音が出ますが,この事から「ガリューム」になってしまったと言っていました.
色々なボリュームを揃えておくとリペアに便利です.
ガリュームになってしまったボリュームも愛着があり何故か捨てられません.

真空管のソケットやツマミ,ラグ板,陸軍端子

 小物部品
 真空管のソケットはmT管,GT管,ST管用があります.
 mT管は7ピンの物と9ピンの物があり,ST管は4ピン5ピン6ピンとあります.
 ツマミは差し込むだけの物,ネジ付の物があります.
  ラグ板は抵抗やコンデンサ等回路を構成する部品を配置し配線する中継として使います.
  陸軍端子はなぜ陸軍端子というのでしょうか?
 陸軍の通信兵は、真っ先に高い場所に登り状況を本部に連絡するのが役目でした.
 当時は携帯用通信機の発電機ハンドル式を回し電信器を接続する必要がありました.
 素早くこの作業を行うために開発されたのが陸軍端子で、バナナジャックを差し込むだけで接続することができます.

バリコンプーリー,スピーカー端子,RCA端子,豆球,ロータリースイッチ

小物部品

バリコンプーリー,バリコンプーリーは真空管ラジオのバリコンに取り付けて選局ツマミと糸掛けで繋がれ減速ダイヤル機構となります

スピーカー端子,スピーカー端子は外付けのスピーカーと接続するための端子です.

RCA端子,RCA端子は入力信号を接続する端子として利用します.
米国の電気メーカーRCAが1930年代に電気蓄音機用にこのプラグを開発したのでその名前が使われています.

豆球,ラジオに使われる豆電球でダイヤルの照明に使います.真空管のヒーター用電源を利用するためAC6.3Vで点灯するよう設計されています.

ロータリースイッチ ,回転式のスイッチで多回路,多接点の構造になります.
例えば4回路4接点等 多バンドラジオのコイルパックの切り替え等に使います.

抵抗器 resistor

抵抗器

カーボン抵抗 

昔から使われてきた抵抗器で,抵抗体に炭素系の焼成皮膜を使っています.
抵抗の表面が焼けていなければ,テスターで抵抗値を確認しそのまま真空管ラジオの修理に使っています.

ソリッド抵抗

炭素系の抵抗体と,セラミックなどを練って焼き固めた抵抗です.
1950年代から作られています

金属皮膜抵抗

抵抗体に金属系のペーストを加熱焼成したものと、金属蒸着皮膜を使ったものがあります.

酸化金属皮膜抵抗

抵抗体に金属酸化物の混合皮膜を使用したもので,数W程度の電力用に使います.

真空管

真空管
真空管はST管,GT管,mT管とありますが,写真のメタル管はGT管の部類に入ります.
メタル管はHallicraftersの送・受信機に採用されていました.
真空管
mT管です.通常mは小文字Tは大文字で書きますがその由来を調査中です.
ご存知の方おられましたら教えて下さい.
mT管には7pinと9pinがあり,9pinは複合管が多いです.
6BE6 6BA6 6AV6 6AR5 等がポピュラーな球で5球スーパーに使われます.
mT管のマジックアイ6DA5 6RE13は見ていて楽しい真空管です.

バリコン Variable capacitor

バリコン 可変容量コンデンサーです.5球スーパーラジオでは2連の物を使います.
1つはアンテナコイルの同調用としてもう一つは局部発信用として機能させます.
高1中2の受信機では3連の物を利用します.
バリコン
エアーバリコンに埃がたまるとQが低下します.
掃除機で埃を吸い込みエアーブラシ等で掃除して使います.
2連バリコンを鉱石(ゲルマニュウム)ラジオで使う時は2つの内1つだけを使います.

マイカコンデンサー

マイカ(雲母)を誘電体として利用したコンデンサーです.
容量温度係数が小さく一定で,容量の精度が高く誘電正接誘電体損失は非常に小さく,高周波特性も良いコンデンサーです.
マイカコンデンサー
耐圧が3000~5000V 容量500P~5000P のマイカコンデンサーです.
送信機のファイナル,πマッチ回路,アンテナチューナーには高耐圧のコンデンサーが必要となるのでジャンク箱に仕舞っています.

電解コンデンサー

電解コンデンサー
電解コンデンサはアルミニウムやタンタルなどの酸化皮膜を誘電体としたコンデンサです.
大容量を特長とし,電源回路などに利用されています.
真空管ラジオのB電源回路には20μF~40μF 耐圧は350V~400Vの物が使われていました.
コンデンサーの中では電解コンデンサーが最も経年変化しやすく,真空管ラジオのリペアでは必ず取り換えるようにしています.

ターレット・ポスト|turret post

ターレットポスト
Collins KWM-2に使われている立体配線のための端子盤でターレット・ポストと言います.
ターレット・ポストにはE20,E50と言うように名前が付けられ,各端子にはA.B.Cと記号が振られています.
ターレット・ポストの配置はシャーシ内部の部品配置図に示されています.

なつかしの送信管 2B33


送信管
送信管です.アマチュア無線の真空管送信機の終段に使っていました.
2B33送信管 小遣いを貯めて初めて買った送信管は2B33です.807は高くて買えませんでした.
807送信管 TX-88Aに採用されていた著名な真空管です.50MHzまでこの球で電波が出ていました.
6146送信管 Collins KWM-2等に使われていた憧れの送信管です.
2E26送信管 VHF 50MHz用の送信機に使われていた送信管です.


___ つづく

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