素敵な真空管ラジオ

昔ラジオ少年だった方へ.もう一度ラジオ少年に戻り「素敵な真空管ラジオ」を作って楽しみましょう. 室内放送スマホからラジオへ

現代版,真空管ラジオの部品収集から5球スーパーラジオの組み立てまでを解説

さらに「素敵な真空管ラジオ」にするためにLine入力を用意し,ブルートゥース受信機を組み込みスマホから好きな音楽を飛ばして真空管の暖かい音を鳴らして楽しみましょう.
exラジオ少年が「素敵な真空管ラジオ」をお届けします.


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5球スーパーの部品を集める

5球スーパー真空管ラジオを作りましょう.
5球スーパーラジオキットは手に入りにくくなりました.

かつて秋葉原には沢山のジャンク屋があり,真空管やトランス等が手軽に入手できました.
今でも真空管を取り扱っている店がありますが,オーディオ向けの高級品店になっています.

欲しいのは6WC5とか6D6とか6ZP1と言った一般的な球(真空管)です.
今でもこれらのジャンク品を手に入れる方法があります.
それはネットオークションです.
ネットオークションで「真空管ラジオ」で検索すると沢山の真空管ラジオがヒットすると思います.
完動品となると高価ですが,「動作未確認」「ジャンク品」と説明している物は手軽な価格で入手できます.
気長に探せばリーズナブルな価格で,中古の真空管ラジオの部品が手に入ります.
動かなくて当たり前,部品取りと割り切って探しましょう.

ジャンクの部品取り用真空管ラジオを探す時のチェックポイント.

1. できればツマミが付いている物を探す (後で探すのは大変)
2. 真空管も揃っている物を探す
3. スピーカーが付いている物を探す
ジャンク5球スーパーラジオは裏からチェック
真空管やスピーカーの状況は商品説明にない場合が多く,裏から撮影した画像を見て判断します.
画像の例では,5本の真空管,スピーカーも見えます,トランスもしっかりしているようです,シャーシは埃をかぶっていますが錆びは少ないようです.

ジャンク部品再利用の考え方

■ バリコン 付いている物を油取りスプレー洗剤を吹きかけて水洗いして,良く乾燥させてから使います.
■ コイル  付いている物を油取りスプレー洗剤を吹きかけて水洗いして,良く乾燥させてから使います.アンテナコイルと発振コイルの2種類があります.
■ IFT    付いている物を使います.中を開けて掃除機でゴミをそっと吸い取ります.線が細いので気を付けましょう.
■ 電源トランス 付いている物を使います.配線に気を付けて掃除機でゴミを吸い取ります.
 取り外して掃除する場合は,AC100,B電源,6.3V,5Vのシールを引き出し線に張ってから取り外します.
 AC100コンセントから接続されているものがAC100です.ヒューズからも配線されています.
 整流管のプレートに配線されているものがB電源です.対になってアースに出ているのでテスターで確認します.
 整流管のヒーターに配線されているものが5Vです
 他の真空管のヒーターに配線されているのが6.3Vです.対になってアースに出ているのでテスターで確認します
■ 電解コンデンサー これは再利用できません.破棄して新しい電解コンデンサに取り換えます.
■ チューブラコンデンサー これは再利用できません.破棄して新しいコンデンサに取り換えます.
■ マイカコンデンサー 良く観察し膨れたりしていなければ再利用可能と思われます.
 テスターの1kレンジの抵抗測定で無限大を確認しましょう.
■ 抵抗  良く観察し焼け焦げた後がなければ再利用可能と思われます.抵抗値をテスターで当たって確認します.
■ 真空管ソケット 付いている物を取り外し,油取りスプレー洗剤を吹きかけて歯ブラシで汚れを落とします,水洗い後良く乾かして再利用します.
■ 真空管 付いている物をそのまま使ってみて,ダメな場合は個別に調達します.これもネットオークションで調達可能と思います.

新規に購入する部品は

■ 電解コンデンサ 20µF~40µF 400V前後 3個 B電源用
■ 電解コンデンサ 10µF~20µF 50V 1個 出力管のカソード用 1個買うのは高いのでB電源用のを使う
■ セラミックコンデンサ 0.01µF 600V 5個 パスコン用 (0.01~0.1µのパスコンは0.01で置き換え可能)
■ セラミックコンデンサ 0.1µF 1個 AVC 時定数用 (AVC 1MΩに付いているコンデンサ)  とりあえず0.01を代用し後で0.1入手したら取り換える
 詰め合わせセット 入手に時間かかりますが 

5球スーパの回路 真空管の役割

5球スーパー回路図 図解
5球スーパーラジオは次の5つの役割を持った真空管で構成されています
1.周波数変換と局部発信管
2.中間周波数増幅管
3.検波と電圧増幅管
4.電力増幅出力管
5.整流管

1.周波数変換と局部発信管
周波数変換回路二つの機能を持った真空管で,
第三グリッドが三極管のプレートの役割を果たし,第一グリッドとカソードで発信回路を形成します.(発振回路 紫色)
アンテナから入った高周波はアンテナコイルとバリコンで同調した周波数の電波が第四グリッドから入ってきます.(水色の腺)
この第四グリッドは5極管増幅の第一グリッドの役目を果たします.
3極部で発信した周波数と第四グリッドから入った周波数がこの真空管の中で混ぜ合わさり増幅されたものがプレートに出てきますが,プレートに接続されているIFT(中間周波トランス)で455kHzの電波として拾い出します.
例えば NKH第一東京放送は594kHzですが,局部発信周波数は1,049kHzを発振しています.
1,049-594=455 となり 594kHzで届いたNHK東京が455kHzに変換されてIFTトランスを経由して次の真空管に引き継がれます

2.中間周波増幅管
中間周波増幅  周波数変換からIFTを経由して引き継がれた受信信号は中間周波増幅管の第一グリッドに入れられ5極管増幅されます.
  増幅された結果はプレートに出てきますが,2段目のIFTにてさらに455kHzに選択度を上げて拾い出され,次の真空管(検波管)に引き継がれます.

 

3.検波と電圧増幅管
検波と電圧増幅  IFTを経由して引き継がれた信号は検波管(2極管)で検波されます.
 検波された信号はIFT 二次側の回路図では下側に出てきます.(回路図緑色の腺)
出てきた信号は音量調節ボリュームに接続されます.
ボリュームの中間タップから取り出された音声信号は3極管のグリッドに入り電圧増幅されてプレートに出てきます.
カップリングコンデンサーを経由して次の真空管に引き継がれます.


ACV回路 
AVC回路 回路図の青い線がAVC回路てす.
  IFTの二次側(回路図の下)から出てきた信号のもう一つは1M又は2MΩの抵抗を通り時定数0.1µFのコンデンサでアースへ落とされ周波数変換と中間周波増幅管のグリッドバイアスとして使われます.ここにはマイナスの電圧が出てきますが,大きな信号の場合はマイナス電圧が大きくなり,小さな信号の場合は電圧が小さくなります.
この回路があると近くの放送局も遠くの放送局も同じ程度の大きさで放送を聞く事ができ,フェージングがある信号も改善されます.

4.電力増幅出力管
電力増幅回路  電圧増幅管からカップリングコンデンサーで渡された音声信号は電力増幅管の第一グリッドに入力され電力増幅されます.
  ブレードに出てきた信号は出力トランスにてインピーダンス変換され.4Ω~8Ω程度のインピーダンスのスピーカーへ音声信号が流れスピーカーから音が出ます.

 

5.整流管
整流管  真空管のB電源として利用するためトランスから出てきた交流を直流に整流管を使って整流します.200V~300V程度の+の電圧を作ります.
  電流は5球スーパーでは40~60mA程度です.
回路図の赤,橙,,黄色がB電源の回路で 赤 橙 黄色 とB+の電圧は低くなります

5球スーパーの回路(ST管)

  ST管5球スーパー回路図

ST管を利用した5球スーパーの代表的な回路を説明します.
ST管は真空管によりソケットが異なります.第1グリッド(入力)とプレート(出力)を確認して最短距離で配線できるようにソケットの向きを配置します.
ヒーター配線は片側をアースするように配線します.

1.周波数変換と局部発信管 6WC5
2.中間周波数増幅管 6D6
3.検波と電圧増幅管 6Z-DH3A
4.電力増幅出力管 6ZP1 または 42
5.整流管 80

5球スーパーの回路(mT管)

  mT管5球スーパー回路図

mT管を利用した5球スーパーの代表的な回路を説明します.
mT管は5球スーパーでは7ピンを使います.mT管も第1グリッド(入力)とプレート(出力)を確認して最短距離で配線できるようにソケットの向きを配置します.
mT管のソケットの中心にピンが立っていますが,このピンは必ずアースするようにします.
ヒーター配線は片側をアースするように配線します.

1.周波数変換と局部発信管 6BE6
2.中間周波数増幅管 6BA6
3.検波と電圧増幅管 6AV6
4.電力増幅出力管 6AR5
5.整流管 5MK9

5球スーパーの回路(mT管トランスレス式)

トランスレス式5球スーパー回路図 
mT管を利用した5球スーパーの代表的な回路を説明します.
  トランスレス方式はヒータを直列に繋ぎ全体をまとめてAC100Vで点灯させます.
  トランスレス式の場合きヒーターの配線には順序がありますので回路図に書かれた順序で配線します.  
1.周波数変換と局部発信管 12BE6
2.中間周波数増幅管 12BA6
3.検波と電圧増幅管 12AV6
4.電力増幅出力管 35C5
5.整流管 35W4

真空管ラジオの組み立て

ラジオ部品の洗浄

落札完了しジャンクの真空管ラジオが届いたら,まずは埃を払って掃除機でゴミを吸い取り奇麗にします.
シャーシの取り出しは前面のツマミを取り外し,底面に3~4箇所ネジがあるはずですのでドライバーを使って外します.
ネジやツマミ等部品を入れる箱を用意しておきましょう.
シャーシを引き出したらスピーカーの線を取り外します.
真空管,中間周波増幅管のシールドケースも取り外します.
バリコンやコイルの状態を確認します.
通常はシャーシの上にアンテナコイルがあります.
シャーシを裏返すとシャーシ内部が見えます.
通常はシャーシの中に発信コイルとパディングコンデンサーがあります.
シャーシ内部も掃除機でゴミを吸い取ります.
抵抗,コンデンサーも観察します.
念のため配線や部品の位置をスマホで撮影しておくと後で確認できます.
各真空管ソケットを固定しているネジを全て取り外します.
IFTや発信コイルや,パディングコンデンサー,アンテナコイル,バリコンの配線部分はニッパーで切断し,その他のコンデンサーと抵抗の部品は配線したままにしておきます.
5ケの真空管ソケットとコンデンサーと抵抗が配線された部分を取り外しできたら油汚れクリーナーを吹きかけ30分ほど放置し,その後歯ブラシを使ってソケットの足の汚れを取り除きます.
その後水洗いをして乾燥させます.
シャーシ部分は電源トランスとIFTに水が掛からないようにビニールで養生し,バリコンとコイルに油汚れクリーナーを吹きかけ30分ほど放置し,その後歯ブラシを使ってバリコンの羽の汚れをとコイルの汚れを取り除きます.
その後水洗いをして乾燥させます.
IFTやバリコンを取り外して洗浄する場合は取り付けてあったネジやナットを無くさないように管理します.(旧JISネジです)

ラジオ部品を再接続

部品が綺麗になり乾燥が済んだら元の真空管ソケットの位置に抵抗やコンデンサーが付いたまま取り付けます.
真空管ソケットは新JISネジ,ナットで取り付けてもOKです.
IFTの配線も切断して場所を再度半田付けします.
その後チューブラコンデンサーは全て新品と交換します.
電解コンデンサーも新品と交換します.
抵抗とマイカコンデンサーは良く観察し焼けていたり,膨張している物は新品に取り換えます.

電源を入れる前の確認

配線と部品交換が終わったら回路図を見ながら確認します.
テスターを使ってB回路,プレートやスクリーングリッドにBが来ているか? カソードは回路図の抵抗値でアースに落ちているか? 等確認します.
次に整流管のみ差してAC電源を入れB電源と6.3Vヒーターを測定します.
正常に出ていたら残りの真空管を差して電源を入れます.

電源を入れての確認

各真空管のプレートとスクリーングリッドのB電圧を測定します.
ボリュームを上げて「ブーン」とハム音が聞こえていたらAF増幅回路は正常です.
ハム音が聞こえなかったら電圧増幅3極管のグリッドにテスター棒を当ててみます.
テスター棒を当てるとハム音が聞こえるはずです. 聞こえなかったら電圧増幅から電力増幅とスピーカーの配線を再確認します.
ハム音が聞こえるようになったら中間周波増幅管の第一グリッドにテスター棒を当ててクリック音が聞こえるか確認します.
バリコンを回してみましょう.放送が受信できますか? 受信できない時は局発が発信しているかどうかを調べます.
テスターをAC300Vのレンジにして局発管のカソードとアース間,G1とアース間のAC電圧を測ります.
発振していれば300Vのレンジで振り切れるほどの電圧がでてきます.
発振していなかったら発振回路のコンデンサーとG1の抵抗など配線を確認します.
局発が発振してくれてアンテナコイルやバリコンの配線に間違いがなければ放送や雑音が聞こえるはずです.

素敵な真空管ラジオ

素敵な真空管ラジオを作りましょう.
「素敵な真空管ラジオ」にするための工夫は次の5項目です.
1. シャーシやトランス,IFTを塗装し奇麗に見せる
2. 真空管を雛段にして手前にmT管次にGT管,奥にST管として並べる
3. マジックアイを付けて綺麗に点灯させる
4. ケースの一部をガラス張りにしシャーシと真空管が見えるよう照明を付けます
5. Line入力を用意しブルートゥース受信を可能とする
雛段に真空管を並べたラジオ

1. シャーシやトランス,IFTを塗装し奇麗に見せる

 従来のラジオはシャーシはケースの中に納め外から見えなくしていましたが,「素敵な真空管ラジオ」は真空管やバリコントランス等を積極的に見せたい,見て貰いたいと思います.
  シャーシやIFT等も塗装し奇麗にします.
  気を付ける事として,IFTの調整ネジをバネでアースに落ちるようにしてありますので,ここは塗装をしない事,
  中間周波増幅管のシールドは内部は塗装しない事.
  バリコンの羽やコイルはデリケートな部分があるので塗装しない事.

2. 真空管を雛段にして手前にmT管次にGT管,奥にST管として並べる

 真空管を奇麗に並べて雛段飾りにして見せましょう.
  サンプルは前段にmT管の6BE6と6DA5 中段にGT管の6V6 奥段にST管の6D6 6Z-DH3A 80 を並べています.
マジックアイ6DA5

3. マジックアイを付けて綺麗に点灯させる

 

マジックアイはグリーンに輝きとても綺麗です.
6DA5がお勧めですが,6RE13もOKです.mT管マジックアイは9Pソケットです.
mT管のマジックアイはピン配列は互換がありますが,光を出す蛍光面が同じでありませんので,使うマジックアイのソケットを履かせて取り付け穴位置を決めます.
マジックアイ6DA5の1番ピン(グリッド)にAVC電圧を入れます.9番と7番を500kΩの抵抗で接続し,9番にB+を250V程度をかけます.
6DA5マジックアイ回路6DA5真空管ピン配列
6DA5は①番ピンが正面を向くようにレイアウトします.⑥番ピンが真裏となります.
ラジオの時はマジックアイとして,Line入力の時はレベル計として動作させましょう.
6DA5 マジックアイとレベル計の回路図は次の通りです.
6DA5マジックアイとレベル計の回路図
※ 注1 レベル計の入力は電圧増幅管のプレート,もしくは電力増幅管のG1と接続します.
ハム音を拾わないようにシールド線で接続します.
この回路を入れる事で高音がカットされますので .005と20kはカットアンドトライで適切な値に調節します.

ガラス張りの真空管ラジオ

4. ケースの一部をガラス張りにしシャーシと真空管が見えるよう照明を付けます.

 シャーシを塗装し雛段に飾りつけ,マジックアイも付けたのでラジオの全面から見えるようにガラス張りにします.
  ガラスは元のラジオに付いていた文字盤のガラスを洗って文字を消して使う方法と3mmの透明アクリル版を切り出して使う方法があります.
  文字盤を洗って使う場合は重曹を水に溶かしてそれにガラスを浸しておき,メラミンスポンジで軽く擦って文字を消します.
  透明アクリル板を使う場合は型紙を作成し実機に充てて正確な寸法だしをします.
  ガラス板もアクリル板もラジオの箱に取り付ける方法は内側から小木ネジとワッシャーで固定します.

 照明はLEDバーライト2.5Wがお勧めです.
  5VのUSB電源をケースの空いている場所に置きそこからLEDバーライト供給します.
  安いUSB電源を使うと変換ノイズが発生しますので品質の良い電源を利用します.

5.素敵な真空管ラジオのアドバイス

5-1. Line入力を用意しブルートゥース受信を可能とする

Line入力を用意しブルートゥース受信機と接続しスマホから音楽やネットラジオを聴けるようにします.
  ブルートゥース受信機やスマホの出力インピーダンスが低いので直接真空管ラジオに入力すると整合性が悪く音が小さかったり歪んだりします.
  その対策としてインピーダンス変換トランスを利用します.
  お勧めは小信号トランス AT405
  ■AT405の主な仕様
・一次インピーダンス:10kΩ
・二次インピーダンス:600Ω
・巻数比:4.9:1
・寸法:21mm×16.5mm×17.0mm(リードを除く)
  二次側を使ってLine入力とし一次側を真空管への入力とします.
  この入力トランスを付けるとハム音が出る場合はトランスの設置角度を変えたり設置場所を変更してハムの少ない場所を選びます.
  配線はシールド線を利用します.

5-2. Line入力時にラジオの回り込みを止める方法

ラジオとLine入力は切り替えスイッチを用紙してボリュームの入力信号をラジオとLineで切り替えます.
ラジオから検波された信号がLineの信号に回り込んでしまう現象が発生します.
これを防ぐ対策として,切り替えスイッチは2回路を使用し,一つの回路でLine入力時は周波数変換管のG3(アンテナ同調回路からの入力)をアースに落とします.
この対策によりLine入力がノイズの少ない綺麗な音で利用できるようになります.

 ♪---ラジオ少年に戻って「素敵な真空管ラジオ」を作って楽しみましょう---♪
素敵な真空管ラジオ

「素敵な真空管ラジオ」「ショーウィンドウ・真空管ラジオ1号機」から「6号機」のご紹介.


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